日本・海外におけるDX成功事例を8つ紹介!失敗しないためのノウハウも公開

各方面から推進される企業のデジタルトランスフォーメーション。このDXはなにをもって成功と呼ぶのか、DX推進に成功している企業にはどんな特徴があるのか、それらを本記事で解説します。

成功している企業には共通のノウハウがあります。自社をDX推進させたいという方は、ぜひ最後までご覧ください。

DX事例

DXにおける成功とは?

多くの企業がDXにおける成功基準を勘違いしているため、まずは成功の定義を確認しましょう。海外に比べて日本企業のDX化は後れていることより、迅速に企業のDXを進めていく必要があります。しかし、経済産業省は9割の日本企業が「DX未着手企業」と「DX途上企業」にとどまっていると発表しました。

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、デジタル技術を活用してビジネスを根本から変革させることです。企業のDX化は、インターネットや5G、IoT、クラウドなどのデジタル技術を取り入れただけでは不十分です。DXの本質はその先にある変革を目指します。そのため、デジタル技術やITシステムを導入した上で業務の生産性を向上させ、事業をより良いものへと変化させなければなりません。もしくは、新しいビジネスモデルを創造することがDXの成功にあたります。

経済産業省はDXのことを、「素早く変革し続ける能力を身に付けること、その中ではITシステムのみならず企業文化を変革する」と提言しています。これらDXにおける成功の定義をしっかり理解し、正しいビジョンを持って取り組みましょう。

日本国内のDX成功事例5つ

DXにおける成功の定義がわかったところで、日本国内のDX成功事例を5つみていきましょう。本項で紹介するDX推進企業は、単純にデジタル技術を取り入れているわけではなく、いくつかの工夫とノウハウを活用しています。それら特徴を抑えて自社のDX推進に活かしましょう。

メルカリ

フリマアプリとして国内で猛威を奮っているメルカリ。なぜメルカリは多くの消費者から利用されているのでしょうか?メルカリが成功した理由としては、パソコンからの利用が当たり前だったオークションサイトを、手軽に使える専用スマホアプリに移行したことがあげられます。

従来のオークションサイトは自宅で利用することがほとんどでした。しかし、メルカリはオークションをスマホアプリに移行したことにより、出品や購入が外出先でも簡単に行えます。また、ポイントを買い物に利用できる「メルペイ」、出品者・購入者ともに個人情報を開示せずに配送できる「匿名配送」など、ユーザーの利便性を極限まで追求した結果、多くのユーザーが利用するフリマアプリとなりました。メリカリはオークションとスマホアプリをかけ合わせたDXの成功例にあたります。

ベネッセコーポレーション

ベネッセコーポレーションは介護事業、教育事業、保育園などの幅広い事業を手がける企業です。そのなかでも教育事業とDXのかけ合わせをみていきましょう。

従来の教育事業は紙を利用した通信教育システム「赤ペン先生」などが一般的でした。自宅で勉強ができるものの、必ずしもユーザーのニーズを満たす教育システムとはいえませんでした。そこでベネッセコーポレーションは教育システムにデジタル技術の導入をおこない、タブレットを用いた教育システム「チャレンジ タッチ」を開発。勉強を電子化することでペーパーレスを実現し、ユーザーの利便性を大きく向上させました。

また、タブレットを用いることでゲームを使った学習ができるようになり、楽しみながら自宅で勉強できます。ベネッセコーポレーションは教育事業にデジタル技術を取り入れて、企業のDX化を成功させました。

三井住友銀行

国内の三大メガバンクで有名な三井住友銀行。この三井住友銀行が起こしたDXは、AIのテキスト含意認識技術によるユーザー意見のホワイトボックス化です。いままでは年間35,000件の意見がユーザーから届いており、すべての意見に目をとおせないことが課題となっていました。

そこで、NECはAIによるテキスト含意認識技術を独自で開発しました。テキスト含意認識技術とは、文章や単語の内容を把握し高精度・高速で判定する技術のことです。この分析・判定システムにより、ユーザーの意見を自動で分類して作業効率を大きく向上させました。

膨大なユーザーニーズを把握できるようになったため、ユーザーが求める的確な価値提供を可能にしたのです。従業員だけでは対応しきれなかった作業量を、AI技術の導入によって解決しました。

大塚製薬

オロナミンCやポカリスエットで知られる大塚製薬ですが、DX推進を成功させたのは医薬関連の事業です。薬の飲み忘れが多いというユーザーの意見に注目し、「服薬支援システム」をNECと共同で開発しました。

錠剤のプラスチックケースにLEDを搭載したIoTモジュールを取り付けることにより、光の点滅で薬の飲むタイミングを教えてくれます。それにより薬の飲み忘れを大幅に減らすことができました。

ほかにも、ユーザーのスマホへの通知や、薬を飲んだことを家族に知らせる機能が備わっています。アプリ内の服薬履歴を薬剤師が確認することで、服薬指導を行うことも可能です。この「服薬支援システム」は薬の飲み忘れを防ぐと同時に、病気の再発・悪化を減少させた画期的なDXの1つです。

クボタ

農業機械・建設機械・エンジン・精密農業技術など、世界各国のニーズに合わせて製品を研究・開発しているグローバル企業です。クボタはサービスエンジニア向けに3Dモデル・ARを用いた「Kubota Diagnostics」というアプリを開発しました。

このアプリは3Dモデル・ARを活用しており、建設機械の故障箇所をアプリ内で確認することができます。また、エラーコードや不具合症状をアプリに入力することで自動的に修理方法が表示されます。そのことより、「Kubota Diagnostics」は建設機械の診断と修理を効率化しました。同時にカスタマーサポートの業務負担が軽減するため、業務の効率化も行っています。

海外のDX成功事例3つ

ここまで、日本国内のDX成功事例をお話しました。続いて海外のDX成功事例を3つみていきましょう。

Uber

Uberは世界的に有名な自動車配車サービスです。日本では食べ物の配達サービス「Uber Eats」で知名度が広がりました。このUberは、配車サービスと専用アプリのかけ合わせでDX化に成功しています。

タクシーなどの従来の配車サービスは、目視で空車確認、呼び出しを電話で行っていました。利用方法が限られていたため、画期的なサービスとはいえませんでした。そこでUberは専用アプリと配車サービスを連携させ、ユーザーにとって高い利便性を生み出したのです。

専用アプリから目的地の設定や呼び出し、会計などを行えます。また、現在地との関係から到着までの時間を算出してアプリ内で確認ができます。さらに、Uberの魅力はそれだけではありません。一般的な配車サービスはタクシー会社を経由して利用します。しかしUberでは、登録してある個人の自動車が配車サービスを行っており、その高い利便性と斬新なビジネスモデルにより大きな変革を生み出しました。

Amazon

インターネット販売サービスで大人気なAmazon。Amazonは高い利便性とAIのかけ合わせによって新たなビジネスモデルを創造しました。

Amazonは「地球上で最もお客さまを大切にする企業であること」という経営理念を掲げ、ユーザーファーストの価値提供を追求してきました。その結果、商品をすぐに購入できる「1-Clickで今すぐ買う」やカスタマーレビュー機能の充実など、ユーザーにとって高い利便性を実現しています。

さらに、DX推進としてあげられるのがレコメンデーション機能です。ユーザーの購入履歴を分析し、そのユーザーが好むであろう商品を自動で提示する機能を構築しました。Amazonはデジタル技術を活用し、ベテラン販売員と同等以上の価値提供を実現しています。

Spotify

Spotifyは月額定額制の音楽コンテンツサービスです。以前まで、携帯端末に音楽を取り込むには、CDを購入・レンタルしたのちダウンロードする必要がありました。しかし、Spotifyではインターネットを介すことにより、通信可能な端末であれば何百万曲もの音楽が定額で聴き放題です。さらに、ユーザーに合わせて曲をピックアップするレコメンド機能が備わっています。

サブスクリプションのSpotifyは、音楽を「所有するもの」から「共有するもの」に変革させた成功例の1つです。

DXを成功させるためのノウハウ

日本国内と海外のDX成功事例を解説しました。本項では、それら成功例に共通しているノウハウをお話します。

企業戦略とビジョン

DXを成功させるには、企業戦略とビジョンが重要になります。社内にDXを導入するにあたって社内環境が大きく変化するためです。環境が変化するなかでも方向性を見誤ることなく取り組み続けるには、会社で掲げる明確なビジョンが必要になります。内部分裂を防げると同時に、会社一丸となってDXを取り進めることができるでしょう。

企業体制の構築

ビジョンを実現するために企業体制の構築を行いましょう。社内にDXを取り入れる際には、挑戦と改善を繰り返すマインドセットが必要であり、PDCAサイクルを回せる環境を構築しなければなりません。

また、新しいデジタル技術を取り入れたところで、適応できる人材がいなければ無意味です。既存従業員の人材育成、もしくは適応できる人材を外部から取り入れましょう。

ITシステムのガバナンス

社内にDXを実現するためにも、ITシステムの実行・管理・メンテナンスを行います。まずは既存ITシステムの見直しを行い、デジタル技術の導入に備えましょう。部門を超えて横断的に判断できる体制を整え、標準化や共通化の取り組みを行うことも大切です。

またITシステムの管理はベンダーに丸投げせず、できる限り自社で管理しましょう。各事業部門が責任持ってDX化を進めていくのがキーポイントとなります。

まとめ

本記事では、日本国内・海外のDX成功事例、DXを成功させるためのノウハウを解説しました。

DXはデジタル技術を用いたビジネスモデルの変革です。ITシステムの導入を目指すものではなく、その先にある大きな変革を目指します。今回ご紹介した成功事例のいずれもが、事業に対する大きな変革を起こしています。それら成功に導く特徴とノウハウを深く理解するためにも、ぜひ本記事を参考にしてDXの知見を深めてください。

「What'sDX」編集部

執筆「What'sDX」編集部

これからDX(デジタルトランスフォーメーション)に取り組もうとしている、既に取り組んでいるみなさまのさまざまな「What’s DX?」の答えやヒントが見つかるサイト「What'sDX」の編集部です。