経理部門におけるDXとは?システム導入時に注意すべき2つのポイント

現代の働き方に対応するためにも、経理部門のDXを積極的に進める必要があります。経理部門のDXとは、デジタル技術を用いて経理業務を効率化し、業務を取り組みやすいよう変革することです。経理部門のDXを進めることで業務の効率化につながるほか、複数コストの削減にも期待できます。

そこで本記事では、経理部門におけるDXについて、メリットや注意点を解説します。最後までご覧になれば、経理部門のDXを推進するイメージが明確になるはずです。

DX推進手順

経理部門におけるDXとは?

そもそもDX(デジタルトランスフォーメーション)とは、デジタル技術を活用したビジネスモデル等の変革のことを意味します。しかし、経理部門におけるDXは本来の意味とは少し異なる意味を持ちます。

経理部門のDXは、デジタル技術を用いて経理業務を効率化し、業務を取り組みやすいように変革します。多くの会社が抱えている経理部門における課題である、承認の際にハンコが必要、請求書や領収書が紙ベース、業務がブラックボックス化するなど、それらをデジタル技術によって改善します。このことから、経理部門のDXはIT化と少し似ているかもしれません。

特に日本の経理部門はテクノロジーの普及に遅れており、アナログ的な業務が未だに多く残っています。それでは現代の働き方に対応できないため、経理部門におけるDXが注目されているのです。

経理部門における具体的なDX

経理部門における具体的なDXとは一体どんなことを指すのでしょうか?経理部門のDXは主にアナログ業務をデジタル化することを意味します。具体的には下記のようなものがあげられます。

  • スマートフォンで領収書や請求書を撮影してデータ化する
  • 経理業務の重要事項をPCやスマートフォンで申請・承認する
  • 紙で保管している情報をクラウドに移してインターネット上で保管する
  • 単純な繰り返し業務をRPA(ロボットによる自動化)を用いて削減する

これら経理部門におけるDXはほんの一例であり、ほかにもさまざまなデジタル化が考えられます。いずれも実現することで生産性の向上やコンプライアンスの強化につながります。

経理部門にDXを導入するメリット3つ

ここまで、経理部門のDXや具体例を解説しました。経理部門にDXを推進することで数々のメリットが見込めます。本項では、経理部門にDXを導入するメリットを3つ解説します。経理部門におけるDXの重要性が理解できるはずです。

業務を効率化できる

経理部門にDXを導入するメリット1つ目は、業務を効率化できることです。経理部門は数ある部門のなかでも、決まった周期で同じ業務を繰り返す定型業務が多い傾向にあります。さらに、経理業務は期日に合わせてミスなく正確に実施しなければなりません。

それらの経理業務はDXと相性が良く、繰り返し業務のほとんどが自動化されます。いままで従業員が手動で行っていた業務が自動化されるため、必然的に業務の効率化につながります。また、多くの繰り返し業務が自動化されることにより、その空いた時間を重要度の高い仕事に当てることも可能です。

複数のコストを削減できる

経理部門にDXを取り入れることで複数のコストを削減できます。DXを推進すると書類のやり取りが不要になるため、ペーパーレス化が大幅に進みます。その影響によって下記のようなコスト削減が可能です。

  • 用紙代
  • 印刷代
  • 電気代
  • プリンターの導入代
  • プリンターのメンテナンス代

また、書類を電子化することで物理的な保管スペースが不要になるため、場合によっては家賃代の節約につながるケースもあります。さらに先ほど解説した業務の効率化が実現すれば、従業員の人件費さえも削減可能です。

このように、経理部門にDXを導入すればあらゆるコストの削減につながります。削減したコストを別の分野に投資することで、さらなる企業発展が見込めるはずです。

環境に配慮できる

経理部門のDX推進によるメリット3つ目は、環境に配慮できることです。ペーパーレス化が進めば書類の印刷や郵送が不要になります。書類を廃棄する際に発生する二酸化炭素の排出量が減少し、自然環境への配慮につながります。

優良企業を目指す上では自然環境への配慮は必要なことであり、DXを推進することで社会全体に活動をアピールできます。社会からの信用を得るためにも経理部門のDX推進は重要なのです。

経理部門のDX導入時に注意すべき2つのポイント

経理部門のDX推進はメリットだけではありません。導入時に注意すべきことも考えられるため、本項ではDX導入時の注意点を2つ紹介します。経理部門のDX推進を検討している方は、注意点を事前にしっかり理解しておきましょう。

関係者や取引先に周知する

経理部門のDXを導入する際は、関係者や取引先に必ず周知しましょう。経理部門はほか部門の関係者や取引先との連携が欠かせません。また、給与計算や年末調整など業務上のミスが許されない業務が多いため、ほか部門の関係者と適切にコミュニケーションを取る必要があります。

経理部門に限った話ではありませんが、企業のDXは業務内容に大幅な変更が加わります。重要な業務を勝手に変革してしまうと連携する際にトラブルが生まれ、業務上のミスや取り返しのつかないことが起こりかねません。そのため、経理部門におけるDXを実施する際は、関係者や取引先に前もって周知しましょう。

システム情報を共有する

経理部門のDXを推進する上では、システム情報を共有すべきです。新しいシステムを取り入れることで、業務内容がより複雑になる傾向があります。そのままの状態を放置していると業務のブラックボックス化に発展するため、複雑化する前にシステム情報をしっかり共有し、情報の見える化を図りましょう。

また、情報の見える化を行うと同時に業務マニュアルを作成しておけば、DXの担当者が不在になったとしてもブラックボックス化を防げます。トラブルを未然に防止するためにも、システム情報の共有を積極的に図りましょう。

経理部門にDXを導入する4つの手順

ここまで、経理部門にDXを導入するメリット・注意点を解説しました。最後に、経理部門にDXを導入する手順を4つに分けてみていきましょう。自社にDXを導入するイメージが明確になるはずです。

手順①:書類のペーパーレス化

まずは請求書や領収書など書類のペーパーレス化を進めましょう。書類情報をパソコン等に打ち込むデータ保管や、スマートフォンで撮影してPDF化します。このように書類をペーパーレス化して整理することで、情報の見える化やコスト削減につながります。

また、フォルダ分けやデータ保存はコンピュータに任せることができるため、経費精算時に行う領収書やレシートの仕分け作業の手間を省けます。経理業務の効率化にも考慮し、まずは書類のペーパーレス化を実施しましょう。

手順②:電子署名の利用

多くの経理部門は物理的なハンコを未だに使用しています。新型コロナウイルス感染症の影響でハンコの電子化が進んでいるとはいえ、電子署名に移行できていない企業は多いはずです。

実はこの物理的なハンコがテレワークの推進を阻害しています。「ハンコを押してもらうためだけに出勤する」という企業も少なくないため、電子署名の利用が実現すれば経理部門のDXに大きく近づくことが可能です。

なお、電子ファイルに押印する場合は電子化されたハンコを作成する必要があります。電子印鑑は無料で作ることもできますが、偽造やなりすましのリスクがあることから、本人認証を設定できる有料の電子印鑑がおすすめです。有料の電子印鑑はセキュリティ対策も十分なので安心して利用できます。

手順③:システムやデータの連携

身の回りの書類やハンコを電子化できたあとは、システムやデータの連携を図ります。経理の給与システムや受注システムを社内で共有することにより、従業員の業務進捗が明確になるほか、データの入力忘れや人為的なミスを削減できます。

また、経理システムをクラウド上で連携させることができれば、データ入力やファイル分類を自動化できるため、無駄なコストをかけることなく業務の効率化が図れます。すべての経理システムを連携させるまでは時間と労力がかかるものの、長期的に考えれば大きなメリットになるはずです。

このように、システムやデータを連携させて一部の業務を自動化することで、理想とするDXに一気に近づくことができます。取り掛かるのが早ければ早いほど時間効率が向上するため、積極的に注力していきましょう。

手順④:経営資料の可視化

システムやデータの連携が完了したら、経営資料の可視化に移ります。経営資料を可視化させることで、経営陣の業務効率が高まります。

例えば、各部門の前年度の経費比較、部門ごとの予算や実績の状況など、経営資料を簡単に閲覧できるようにしておけば、経営層は必要な情報をすぐに確認できるため、経営に集中することが可能です。

また、経営資料を可視化する際にシステムの整理も一緒に行っておくことで、会社全体のブラックボックス化を防げます。DX推進時は既存システムが複雑化しやすいため注意しましょう。この手順④まで完了すれば、経理部門におけるDXは実現しつつあります。

まとめ

本記事では、経理部門におけるDXについて、メリットや注意点を解説しました。

経理部門のDXは本来の意味とは少し異なり、どちらかといえばIT化に近いです。経理部門におけるDXを実現することで、業務の効率化や複数のコスト削減が見込めます。しかし、その反面いくつか注意すべきポイントも存在するため、事前に知識を深めておきましょう。

また、闇雲に新しいシステムを導入すると業務のブラックボックス化に陥るリスクがあるため、ぜひ本記事の内容を参考にし、安全に経理部門のDXを推進させましょう。

なお、企業のDXをより安全に進めたい方は「DX推進コンサル」に頼るのも1つの手です。DXコンサルについては「企業DXを支援するDX推進コンサルとは?必要である理由やメリットを徹底解説」で詳しく解説しています。興味がある方はぜひご参考ください。

「What'sDX」編集部

執筆「What'sDX」編集部

これからDX(デジタルトランスフォーメーション)に取り組もうとしている、既に取り組んでいるみなさまのさまざまな「What’s DX?」の答えやヒントが見つかるサイト「What'sDX」の編集部です。