日本国内におけるDX導入事例を5つ紹介!多くの企業が抱える3つの課題点とは?

海外企業に比べて日本企業のDX化は非常に後れを取っています。そんな状況も相まって、各方面から企業のDX化が推奨されます。「自社にも早くDXを導入したい」そう思う経営陣の方も少なくないでしょう。

そこで本記事では、日本企業のDX導入事例を5つ紹介し、その事例を踏まえたDX化の課題について解説します。DX化の不安が解消され、前向きに導入を始められるはずです。

DX事例

日本企業のDX化は後れている

DX(デジタルトランスフォーメーション)という言葉はご存じでしょうか?DXとは、デジタル技術を導入してビジネスモデルの変革を起こすことです。そのため、業務効率化を目指す単なるIT化とは大きく異なります。

ビジネスモデルの変革・創造を目指す企業のDXですが、実はほとんどの日本企業がDXを導入していません。このことは経済産業省の「DXレポート 2中間取りまとめ」から明らかになっており、日本企業の9割以上が「DX未着手企業」と「DX途上企業」だと提言されています。

同じく経済産業省による「DXレポート」では、社内システムの複雑化やブラックボックス化を改善しなければ、2025年以降に最大12兆円(年)の経済損失が生じる可能性があることを危惧しています。このことより、日本企業のDX化は海外企業と比べて大幅に後れをとっており、一刻も早く改善すべき問題だとされています。そのため、まずはこの事実を念頭において、企業のDX化を進めていきましょう。

とはいえ、すべての日本企業が後れをとっているわけでは決してありません。DX化に成功している日本企業もたくさんあるため、次項でDX導入事例をみていきましょう。

日本におけるDX導入事例を5つ紹介

日本企業のDX化が後れていることは理解できたでしょうか?続いて、そんな状況のなかでDX推進に成功した日本企業の事例を解説していきます。成功を収めている導入事例を確認することにより、企業DXの成功ノウハウが把握できるはずです。

株式会社三井住友銀行

三大メガバンクの1つである三井住友銀行は、ユーザーから寄せられた意見をサービス向上に役立てるため、AIを用いてテキスト文章を分類できる独自技術を開発しました。

これまでは年間35,000件ほど届く膨大な量の意見をすべてチェックすることが難しく、ユーザー意見を直接サービスに反映できないことが課題でした。そこで、NECが独自に開発したAIによるテキスト含意認識システムをベースに、課題であったユーザー意見の要約と分類を自動化しました。

従業員が1つひとつ手作業で分類していた業務を、高精度・高速で分類するテキスト含意認識システムが担うことにより業務効率が大幅に向上しました。この自動化の導入で、膨大な量のユーザー意見をサービスに反映させることが可能となりました。

株式会社トライグループ

「家庭教師のトライ」で有名な株式会社トライグループは、もともと家庭教師派遣事業を手掛けていました。その事業で蓄積したノウハウや生徒の学習記録を活かし、中学生や高校生向けの無料映像授業サービス「Try IT」を提供しています。

「Try IT」は10代の学生向けコンテンツであるため、すべての動画をスマートフォンで気軽に視聴できます。また、動画内での不明点を教師に質問できるというシステムを活用し、生徒が勉強を続けることのできる環境を実現しています。

このように、DXによって家庭教師の派遣事業からコンテンツ提供ビジネスへ変革を遂げました。なお、別売りのテキストや有料の質問などで事業収益を得ています。

JapanTaxi株式会社

JapanTaxi株式会社は配車サービスと専用アプリのかけ合わせにより、ユーザーにとって高い利便性を生み出しました。

従来の配車サービスは電話での利用が一般的でした。一方、配車サービスにDXを導入した「JapanTaxi」では、乗車場所を指定して呼び出しボタンを押すだけで、近くのタクシーをすぐに呼び出すことができます。また、アプリ内で待ち時間の確認や料金相場を調べることも可能です。

さらに「JapanTaxi Wallet機能」を活用することにより、目的地に到着する前に会計が済むため、よりスムーズに配車サービスを利用できます。日本版のUberだといわれる「JapanTaxi」は、配車サービスとデジタル技術のかけ合わせによってDXを実現しました。

株式会社メルカリ

2013年に設立された株式会社メルカリは、いままでになかったインターネットショッピングを実現。スマホアプリとフリーマーケットを組みわせたDXで成功を収めています。

従来のネットオークションはパソコンで利用することが前提でしたが、メルカリではスマホアプリとフリーマーケットを組み合わせ、外出先でも難なく利用できるサービスを開発しました。スマホアプリからは商品の購入だけでなく、商品の出品や相手との連絡も行えます。

また、株式会社メルカリはユーザーの利便性を追求し、出品者・購入者ともに氏名や住所などの個人情報を隠して取引できる「匿名配送」、宛名書きが必要ない手間のかからない「らくらくメルカリ便」などを取り入れています。

LINE株式会社

クレジットカードや住宅ローンで参照される個人の信用情報は基本的に開示されることがないため、自身の信用度を簡単に確認することはできません。そこでLINE株式会社は、個人の信用度を信用スコアとして測定できる「LINE Score」を開発しました。

「LINE Score」を用いることにより、ユーザー自身の個人情報を入力すれば100〜1000までの信用スコアが測定され、自身の信用度を可視化することが可能です。LINE株式会社はビッグデータを活用したことで、信用スコアという新しい個人情報を創造しました。

このサービスは主に中国で活用されており、航空券チケットの購入、NPO法人の立ち上げなどの判断に信用スコアが用いられています。LINE利用者の多い日本で、将来的に「LINE Score」が運用される可能性も十分考えられるでしょう。

多くの日本企業が抱えるDX導入における課題点

ここまで、日本におけるDX導入事例を解説しました。DX化に成功している企業はいくつもの課題を乗り越えて変革を実現させています。そのため本項では、多くの日本企業が抱える課題点をみていきましょう。事前に課題となるポイントを抑えておくことで、よりスムーズに社内のDX化を進められるはずです。

既存業務の負担

社内にDXを導入する際、既存業務の負担が課題となることがあります。下記のような状況だと注意が必要です。

  • 既存システムがブラックボックス化している
  • 人手不足で業務が回っていない
  • 従業員同士の連携が取れていない

新しいシステムを導入すると、既存業務以上に負担がかかります。業務の複雑化がさらに加速してしまい、トラブルにつながるリスクも考えられるでしょう。そのためDXの導入前に既存業務の見直しを図り、社内体制を整えておきましょう。

DX人材の人手不足

多くの日本企業が抱える課題として、DX人材の人手不足があげられます。DX人材とは、企業にDXを推進するためのデジタル技術を活用できる優秀な人材のことです。DX人材は専門スキルや高度なコミュニケーションスキルが必要になるため、そもそもの絶対数が多くありません。

また、多くの企業がDXの推進を始めたことで、さらなるDX人材の不足を招いています。なお、経済産業省委託事業が2019年3月に公開した「IT人材需給に関する調査」によると、2030年には最悪のシナリオで最大約79万人ものDX人材が不足すると予測されています。需要と供給のバランスが釣り合わず、DXを導入できない企業が増えることも考えられるでしょう。

具体的な対応策としては、「社外から採用する」「アウトソーシングを用いる」「従業員を育成する」この3つがあげられます。なかでも従業員の育成は時間を要するものの、再現性の高い方法だといえます。

デジタル技術の導入コスト

DXはデジタル技術を活用した変革であるため、デジタル技術の導入が必要不可欠です。しかし、デジタル技術の導入には一定の初期コストがかかります。その初期コストが懸念点であり、DXを導入できないという企業も少なくないでしょう。

導入コストに対する解決策として、DX推進に適した補助金制度の活用があげられます。一定の審査基準が設けられていますが、活用できれば自己負担額を大幅に抑えることができるはずです。DX推進向けの補助金制度は下記をご参照ください。

  • IT導入補助金
  • ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金
  • 戦略的基盤技術高度化支援事業

まとめ

本記事では、日本企業におけるDX導入事例、多くの日本企業が抱える課題点についてお話しました。

企業のDX化はデジタル技術を導入するだけでなく、その先にある大規模な変革を目指します。とはいえ、DXを導入している日本企業は意外にも多くありません。経済産業省が発表したデータによると、「DX未着手企業」と「DX途上企業」が9割以上であるとされます。

しかし、すべての日本企業が導入していないわけではなく、DX化を成功させた導入事例が多数あります。自社にDXを導入する際はそれらの成功事例を参考にして、社内DXをスムーズに進めていきましょう。

「What'sDX」編集部

執筆「What'sDX」編集部

これからDX(デジタルトランスフォーメーション)に取り組もうとしている、既に取り組んでいるみなさまのさまざまな「What’s DX?」の答えやヒントが見つかるサイト「What'sDX」の編集部です。