製造業におけるDX推進とは?現状の課題を把握して成功ポイントをみつけよう

日本国内における製造業の現状はあまり良い状況とはいえません。新型コロナウイルスの感染拡大も相まって、不透明な状態が今後も続いていくと予想されています。

そこで推進すべきものがDX(デジタルトランスフォーメーション)です。製造業におけるDXとは、デジタル技術を活用して収益モデルを変革し、付加価値の高い製品を市場に送り出すことを指します。

本記事では、製造業の現状、製造業におけるDXの定義、成功のポイントを解説します。最後までご覧になることで、製造業におけるDXの進め方が明確になるはずです。

DX推進手順

日本国内における製造業の現状

まずは日本国内における製造業の現状をみていきましょう。

2021年の現在、製造業における経済的状況は決して良いとはいえません。内閣府が2020年11月16日に発表した「2020年7〜9月期の国内総生産(実質GDP)速報値での成長率」は、2020年4〜6月期に対して5.0%となりました。

また、前期における「2020年4〜6月期のGDP」は、新型コロナウイルスの影響を受けたこともあり年率換算で27.8%の減少を記録しています。これは戦後最大の落ち込みであり、製造業における現状の深刻さを物語っています。なお、この落ち込みによる反動で四半期ぶりにプラス成長はしているものの、新型コロナウイルスが感染拡大する前の水準値には至っていません。

一方で、2021年8月16日に発表された「2021年4〜6月期での実質GDP成長率」は、年率換算で1.3%増加しました。このプラスは2四半期ぶりであり、緊急事態宣言下でも市場予想を大きく上回る伸びとなりました。

しかし、株式市場の反応は鈍く、投資家が日本株を積極的に買い進める動きはみられていません。このこともあり、世界的に新型コロナウイルスがまん延している現状、このプラスが良い傾向にあるとはいえないのです。

以上のことから、日本国内における製造業の現状はあまり良好とはいえません。むしろ、新型コロナウイルスの感染拡大も相まって、不透明な状態は今後も続くと予想されています。

製造業におけるDXとは?

製造業における現状は大まかに理解できたでしょうか?製造業の現状を打開するDX(デジタルトランスフォーメーション)について解説していきます。まずは、製造業におけるDXの定義を明確にしましょう。

製造業におけるDXとは、デジタル技術を活用して収益モデルを変革し、付加価値の高い製品を市場に送り出すことです。消費者の行動が常に変化し続けている現状、世界市場で生き残るためには製造業のDX推進が必要不可欠です。

しかし、付加価値の創出や新しいビジネスモデルの開拓は決して容易ではありません。さらに、いきなり高い目標を持ってDX推進に取り組んでしまうと、「莫大なコストをかけたのに成果に結びつかなかった」という悪循環に陥るリスクがあります。

そのため、まずは製造現場の現状を確実に把握するためのデータ収集を行い、それに関連する対策を少しずつ進めていくDXがベストです。それが最も製造業のDX推進につながると考えられます。

以上のことから製造業におけるDXを再定義すると、「最終的に理想とする真のDXを実現するためにも、身の回りのシステムから少しずつ推進していくこと」、それこそが製造業におけるDXだといえます。現場に潜んでいる小さな可能性を探ることから始めていきましょう。

製造業のDX推進を阻害している3つの課題

ここまで、製造業におけるDXの定義について解説しました。製造業のDXが明確になったところで、DX推進を阻害している課題をみていきましょう。現状の課題が明らかになれば、DX推進の可能性が広がるはずです。

時代変化の速さ

製造業におけるDX推進の課題1つ目は、時代変化の速さです。時代変化が早い現代では、顧客からの要求が刻一刻と変化しています。そのことから、いままでのような「良い製品を作れば売れる」という時代ではなく、常に新しい製品・サービスを提供する必要があります。

変化を続ける顧客ニーズに対応するためにも、製造業は常にその変化を捉え続けなければなりません。しかし、そんな切迫した状況では余力がいつまで経っても生まれず、企業のDXを推進できません。そのため、DXという大きな課題を先送りにしてしまうのです。

単純な人材不足

製造業における単純な人材不足もDX推進を阻害している原因の1つです。少子高齢化が加速している現代の日本では、人材不足という大きな課題を製造業は抱えています。

企業DXを進めるには多くの従業員が必要となるため、その課題をクリアしなければ製造業のDXは推進できません。むしろ、このような状況ではDX推進はおろか、既存ビジネスさえ安定させることは難しいでしょう。

ITに関する技術やノウハウの不足

製造業におけるDX推進の課題3つ目は、ITに関する技術やノウハウの不足です。企業DXは優秀な人材が必要であると同時に、ITに関する技術やノウハウが必要となります。

そもそもDXはデジタル技術を用いた変革を意味します。最新のデジタル技術を扱えることが大前提であり、より専門性の高いスキルが求められます。

しかし、製造業はITに関する技術やノウハウを持った人材が少ない傾向にあるため、DXを進めたい気持ちはあっても実行に移せません。技術やノウハウを得て現状を打開するためにも、外部の人材を取り入れる、DX推進人材として育成するなどの解決策を模索する必要があります。

製造業におけるDX推進事例2つ

製造業におけるDX推進の課題はざっくりと理解できたでしょうか?その課題を解決に導くためにも、本項では製造業におけるDX推進事例を2つご紹介します。DXの成功事例を確認し、プロジェクトを成功に導く法則を探りましょう。

グンゼ株式会社

まず1つ目のDX成功事例として、エンジニアリングプラスチックス材や医療機器などを手掛ける「グンゼ株式会社」があげられます。グンゼ株式会社は、人々の健康を支援する取り組みを進めるなか、NECが提供している薄型デバイスを用いた「導電性ニット」の開発に成功しました。

この導電性ニットは、着るだけで生体情報を計測できるという革新的なウェアラブル肌着システムです。心拍数や消費カロリーなどの生体情報を計測できるだけでなく、通気性や着心地の良さにも強くこだわっています。

グンゼ株式会社はこの製品を活用することで、利用者の体調管理や高齢者のQOL維持などの発展を目指しています。

碌々産業株式会社

製造業におけるDX推進事例2つ目は、国内工場と海外工場の両方を手掛ける「碌々産業株式会社」です。高精度加工機を設計・製造している企業であり、DXに対する取り組みが評価されています。

従来のシステムでは納品した機械に起こる故障や原因の把握が難しく、顧客との関係性を維持することが課題となっていました。そこで碌々産業株式会社は、設備の管理状況や稼働状況を把握できる独自プラットフォームを開発しました。

このプラットフォームではクラウドで遠隔監視・共有できることから、顧客の利用する環境をもとにしてより良い製品の開発を可能としています。そのほか、作業者の負担軽減につなげる運用にも期待されています。

製造業にDXを推進するための3つのポイント

ここまで、製造業におけるDX推進事例を紹介しました。そのDX推進事例を参考にして、DXを推進するためのポイントを3つみていきましょう。製造業におけるDXを前向きに検討している方は、ぜひ確認してみてください。

自動化・業務効率化の促進

製造業にDXを推進するためのポイント1つ目は、自動化・業務効率化の促進です。ここでいう自動化・業務効率化とは以下のようなことを指します。

  • 手作業で行っていた集計業務を自動計算に切り替えた
  • 電話やFAXで情報のやり取りをビジネスチャットやクラウドに切り替えた
  • 会社への出社を廃止してほとんどの業務をテレワークに切り替えた

まずはこれら身の回りの既存業務から改善することが重要です。はじめから大規模なプロジェクトを手掛けてしまうと失敗した際のリカバリーができないため、小さい業務改善から始めていきましょう。1つずつシステムを改善していくことで、着実に企業DXを推進していけます。

データ分析によるニーズ追求

製造業にDXを推進するポイント2つ目として、データ分析によるニーズ追求があげられます。市場ニーズとものづくりを連携させるためにも、既存ビジネスで行えるデータの収集・分析から始め、市場の動向を的確に捉えましょう。

現代では品質の良さより顧客の求めるニーズが重要であることから、市場ニーズに合っているのかを常に探る必要があります。製造業のDX推進につなげるためにも、顧客の要望や消費行動を追従し続けましょう。

顧客育成のための情報提供

DX推進のポイント3つ目は、顧客育成のための情報提供です。製造業におけるDXの本質は、「顧客の消費行動や考え方の変化に合わせた変革を継続的に行うこと」だとされています。このことから、製造した製品をただ販売するだけでなく、顧客満足度を確かめながら日々改善を繰り返していく必要があります。

また、潜在顧客を育成させるためにも顧客への情報提供も重要です。有益な情報を顧客に提供すれば、結果として顧客にとってより良いサービスにつながります。

まとめ

本記事では、製造業の現状、製造業におけるDXの定義、成功のポイントを解説しました。

国内における製造業の現状はあまり良好ではありません。むしろ、新型コロナウイルスの感染拡大も相まって、不透明な状態が今後も続くと予想されています。

だからこそ、製造業においてはDXが推奨されています。とはいえ、いきなり大規模な変革を目指すのではなく、最終的に理想とする真のDXを実現するためにも、身の回りのシステムから少しずつ変革させていきましょう。ぜひ本記事で紹介したDX推進事例や成功ポイントを参考にし、製造業におけるDXを前向きに考えてみてください。

「What'sDX」編集部

執筆「What'sDX」編集部

これからDX(デジタルトランスフォーメーション)に取り組もうとしている、既に取り組んでいるみなさまのさまざまな「What’s DX?」の答えやヒントが見つかるサイト「What'sDX」の編集部です。